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ご注文



著 藤山 友美





みさきの手には おばあちゃんへわたす
クリスマスプレゼントが しっかりとにぎられていました
おばあちゃんの手が いつも冷たかったから
手ぶくろをよういしていたのです

かわいいみさきのね顔を見ながら おばあちゃんは
また ゆっくりつえをまわしたのです
(グルーン グルーン グルーン…)
すると どうでしょう! おばあちゃんのすがたが
だんだん きえはじめたのです

さあ 大変です!
ムクがおどろいて なきはじめました
(ワン ワン ワン!)
その声で 目がさめたみさきは
大きな声で おばあちゃんをよびました
「おばあちゃん おばあちゃん… 遠くへ行っちゃだめだよ!」

なんどさけんでも おばあちゃんの声は 聞こえませんでした
みさきは さみしくてないてしまいました
ムクもさみしそうに(クーン クーン)と ないています

おばあちゃんが いなくなって
しばらくたったある日のことです
公園であそんでいると
どこからか おばあちゃんの声が 聞こえてきたのです

「みさきちゃん みさきちゃん!」
「あ おばあちゃん どこにいるの?」
すると おばあちゃんは ゆっくりと話しはじめました