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著   星咲 しずく




* 君の胸にピエロ

街中で 哀しいピエロを見た
楽しそうに 踊るピエロの
背中は 泣いていた

私には 分かったの
子供たちが 笑っている
その声の中で 聴こえたのよ
あなたの 哀しい泣き声が…

ピエロのあなたと 何度か目が合った
そして 私の前であなたの足が止まったわ
微笑むあなたは
私の手を そっと握り締めて
一粒の 輝く石をくれたの
それは魔法のように キラキラと
私を包んでくれた
「さあ! 笑って 今の僕に出来る事は
こうして 踊ることだけなんだ だから
君も もう泣かないで 笑って!」

ピエロの目に 一粒の涙が光って見えた
人込みの中
こらえていた涙が 私の頬を伝った

「ありがとう…」

あなたのハートの囁きが
聴こえた気がした




* 桜の花束を

夢をいっぱい 胸に膨らませて
卒業する君たち…
風のメロディに乗り
聴こえてくるのは 卒業の歌
おめでとう
遥か昔を 思い出す
ありがとう
その にこやかに笑う口元は
どんなに 煌めく 宝石だって
きっと かなわないさ

未来あふれる 君たちへ
できることなら
桜の蕾を 両手いっぱいの
花束にして 
みんなに届けたい
その小さな蕾を あなたの夢で
咲かせてほしいから
心の中で いつまでも…