次の日の朝、僕たちは夕日を探しに旅に出た。
でも夕日ってどこに行ったら会えるのかな・・・
魚屋さんに聞いてみた。
「どこに行ったら夕日に会えますか?」
「まだまだ会えないな」って、ねじりはちまき魚屋お兄さん。
「いつになったら夕日に会えますか?」
おまわりさんに聞いてみた。
「今日はあやしいな」って、空とにらめっこおまわりさん。
ひなたぼっこしているおじいさんに聞いてみた。
「夕日って何ですか?」
「おてんとさまの帰り道じゃよ」って、たばこの煙がプーカプカ。
僕はピンクに夕日を見せてあげたかっただけなのに、
なかなか夕日に会えなくて涙があふれてきた。
「ニャ〜」
ピンクも一緒に鳴いてくれたよ。
僕とピンクはお家に帰ることにしたんだ。
もしかしたら、帰り道に夕日に会えるかもしれない!
でも、夕日には会えないまま、とうとうお家に着いてしまった。
そこにはピンクのおばあちゃんが空を見て立っていた。
それは、とても大きなピンク色の空。
僕たちが探していたおてんとさまの帰り道!
僕は大喜びでピンクに教えたよ。
するとピンクが言ったんだ。
「しー! 声の色を消して・・・」
そして、ピンクの話がはじまった。
私はね、ダンボール箱から生まれたの。
おばあちゃんに拾われた時、生まれたばかりの私は
まだ目も開いてなくて・・・。
おばあちゃんは、私の目が開いたら名前をつけようって決めたのよ。
でも、いくら待っても私の目は片方しか開かなかった。
ある日、おばあちゃんが私を抱いて、あの丘の上に立ったの。
その日も今日と同じピンク色の空だった。
おばあちゃんの目から涙があふれて、私の耳に落ちたわ。
ミャ〜≠チて私も鳴いた。
私の声に気がついたおばあちゃんは、私の片方の目をじっと見つめて
あなたは今日からピンクよ って言ったのよ。
優しい声の色だった。
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