本文へジャンプ

夕張っ子メロン (森野円)




中秋の名月の夜、メロン畑の片隅に、ひときわきらきら輝く月光が射し込みました。
光線は、しばし輝きを放つと、竜巻のようにうず巻き状になって空へと舞い上がり、それから一直線になって、再び地上へと戻ってきました。
そして、メロンの茎についている葉の中で、最も大きい葉をピカッと照らすと、それきり消えてしまいました。

照らされた葉は、しばらくはじっとしていましたが、そよそよと風が吹いてくると、初めはぱたぱた、次第にばたばたという音をたてて、まるで大きなうちわのように、あたり一面に風を送ったのです。
ばたばた、ばたばた、という音がしばらく続いた後、葉は、ぴんと伸ばしたハンカチのように平たくなって、地面をおおいました。

そして、再び風が吹き始めた瞬間、葉の先端はくるりと丸くなり、シュッという音をたてて、一群のすすきが並ぶ川辺の方へ飛んでいったのです。
飛んでいった葉を見守っていたのは、ただ、天空の月だけでした。